日本人の体温は戦後0.8度も下がった。

日本人の体温は戦後0.8度も下がった。

戦前 推定  37.2~37.5

昭和37年 平均 36.9

2020年 平均 36.1

癌、糖尿病 発症 35.8

 

【川嶋朗先生】日本人の体温は0.8℃も下がった!? 現代病「冷え」はこんなにも危険!

 

川嶋先生その通りです。ちなみに、900人の女性のみを対象にした「冷え」に関するアンケート調査があります。冷えを感じている人の割合を年代ごとに調べたもので、これによると、60代では約半数だったのに対し、20代では約80%の人が冷えを訴えていました。基礎代謝は、20代のほうが高齢者よりも高いはずなのに、どう考えてもおかしな話です。

つい先日も9月上旬の福岡で、高校の体育大会に参加していた女子35人と男子1人が低体温症で病院に搬送されるという事故がありました。運動をしているのにもかかわらず低体温症、そういう事実が起こりかけているわけです。

日本人の平均体温に関する論文としては、東京大学の田坂定孝(たさか さだたか)教授のグループによって1957年(昭和32年)に出されたものが最後になります。これによると、10〜50歳代の健康な人3094人(男性:1445人、女性:1649人)の体温を計測した結果、平均体温は36.9℃だったそうです。

36.9℃と聞くと、ほとんどの方が「そんなに高いんですか?」とおっしゃいます。それ以降の体温に関する論文はないものの、2011年に興味深いテレビ番組の企画がありました。それによると、調査対象となった日本人300人の平均体温は36.2℃だったそうです。また、テルモ株式会社が2008年に行ったインターネットの調査では、大人の平均体温が36.1℃、子どもでも36.4℃。いずれも参考データですが、1957年時の36.9℃と比べるとかなり低めです。

今は一年中、冷たい飲み物をたくさん飲んでいます。コンビニや家庭の冷蔵庫では、4℃ぐらいに保たれているのではないでしょうか。体温より30℃以上も温度の低いものを飲んでいるのですから、相当のエネルギーがないとカバーできません。

それに、いつでもエアコンが効いていて、自分で体温を維持する必要が少なくなっていることも大きいでしょう。暑さや寒さへ順応する力を、あまり鍛えていない。したがって、若い人ほど顕著な傾向が現れていると考えられます。
また、私たちの体の基礎代謝の4割を担っているのは筋肉ですが、その筋肉量も減っています。地方では自動車が普及し、都会でも交通機関が発達しているので、体を動かす機会がなくなっていますよね。

そう言っていいと思います。上記のほか、ストレスも冷えの原因になります。ストレスを感じた瞬間は呼吸数や心拍数が上がり、体温も上がります。しかし同時に血管の収縮を起こすため、30分を過ぎたころから血流が悪くなり、体温は下がってきます。
エアコンの話と同じですが、現代の若い人たちは、良くも悪くも“大切に”育てられてきました。さまざまなストレスに対する耐性も弱くなってきているのでは。つまり冷えは現代病であり、文明・社会の発展が原因となって、若い人ほど冷えを感じるようになったと考えられるのです

私がよく言っているのは、湯たんぽを太ももの上に置いて温めるという方法です。効率よく温めるためには血流の多い場所を選ぶといいでしょう。さらに、日中の利用が効果的です。夜寝るときに足が冷たくて眠れないからといって布団に入れるのではなく、自分の体温そのものを上げてみてはいかがでしょうか

「首」と名の付くところはすべてお勧めです。顔の下の首のほか、手首や足首などですね。太い動脈が走っていますから、血液を温めやすくなります。
また、血液だけではなく、交感神経にも注目してみましょう。日中の緊張状態では、主に交感神経が働いています。その一方、腰の仙骨には、「休め」の指示を出す副交感神経が集中しています。ですから、この部分を温めると血管が開いてくることが期待できます。実際に腰を湯たんぽなどで温めると効率よく体温が上がってきますよ。

体質改善には筋肉をつけることが一番です。日本人はもともと農耕民族ですが、農作業をしていた時代に比べて現代人の生活は、運動の絶対量が足りません。誰もが運動すればいいことはわかっているけれど、なかなかできないんですね。本当は電車でも座らずに立っていたほうが体にいいんですよ。
また、冷えた飲み物に対する信仰みたいなものは、この機に見直してみましょう。このように、冷え対策は意外とシンプルですから、すぐに取り組めることから始めてみてはいかがですか。

冷えは、どちらかというと不快さのような「気持ちの問題」だと思っていました。ところが、体の冷えから血液の流れが悪くなるとさまざまな体の不調を引き起こし、逆に体を温めれば改善されるとのこと。川嶋先生のお話にあった冷え対策には次のようなものがありました。

・冷たいものを飲みすぎない
・エアコンの設定温度を調節する
・日中から湯たんぽで太ももを温める
・運動をして筋肉量を増やす

これらは、お金がかからないだけでなく、「やって損」にはならない対策ばかり。また、体の冷えは、体を痩せにくくしてしまうそうです。つらい冷えの悩みを解消したい方、知らないうちに冷えで体調を崩している方、そして冷えによって思ったほど痩せられない方は、できることからひとつずつでも取り組んでみてください。「病気が発症する前に手を打つ」。そのために、日ごろから体温を高める工夫をしてみましょう。

【川嶋朗先生】日本人の体温は0.8℃も下がった!? 現代病「冷え」はこんなにも危険!