起立性蛋白尿やネフローゼやその他の腎疾患では、病態の一つとして、蛋白尿が出ます。なぜ蛋白尿が出るのか、原因を考えてみましょう。腎臓で尿をつくる最初の場所が糸球体です。血液から原尿はつくられ、その後、尿細管を通過するうちに水が再吸収されたり、電解質の出入りの調節が行われて最終的な尿として完成し排泄されています。糸球体の内外の境界になっているのは血管内皮細胞で、白血球の基本細胞であるマクロファージと近縁の細胞です。真核細胞が多細胞化して進化を始めたとき、その基本型を残して防御や多文化能細胞としての役割を果たし続けたのが減租のマクロファージです。
防御細胞としての元祖マクロファージは、その後、血球細胞も生み出していますが、その血球細胞を流す管として進化したものが血管内皮細胞です。マクロファージはからだに侵入してきた異物を貪食する能力を保持しています。このような血管内皮細胞は接着分子をつかって相互に手をつなぎ、管としての機能を発揮しているのです。しかし、このような特殊化した機能は、からだの全体の機能が正常に維持されていないと破綻します。
もし、私達が多大なストレスに出合って、交感神経緊張から血管収縮、そして血流障害や低体温が起こったとき、蛋白合成低下によって、いろいろな接着蛋白を十分につくれなくなる状況が起きます。このため、血管内皮細胞間に隙間ができて蛋白成分が漏れるのです。これが蛋白尿の原因です。特に、血中に大量にあるアルブミンが露出します。
起立性蛋白尿の場合は、過敏な体質の人が「立つ」という動作にストレスを受けて蛋白尿が出ると思われます。軽症なので問題にはなりません。しかし、ストレスが強い場合、血中のアルブミン値の低下により、むくみが起きます。膠質浸透圧の低下による組織への水分貯留で起こり、これがネフローゼです。
ここで大切なことは、
過敏体質の人(特に子供)は、普通の人がストレスと感じないレベルの行為、例えば、長く遊ぶ、激しく運動する、日光を浴びる、疲れるなどということがストレスになっていると思われます。したがって、ネフローゼの治療は、からだを休める、からだを温めて血行を良くする、安心させるなどの指導が必要となります。発症のメカニズムが理解できると、医療関係者も親も本人も安心して病気から逃れることができ、また、過剰な対症療法を行う危険からも回避できます。
次に、副交感神経優位の子供は過敏体質になります。その一番大きな原因は、甘い物を摂り過ぎることでしょう。甘い物は、副交感神経優位の体調をつくり、時には低血糖を発症させます。低血糖はインスリンの過剰分泌によってもたらされ、すると、副交感神経も過剰優位になり過敏体質になるわけです。これがネフローゼも食生活の偏りとストレスによって発症するという理由です。
IgA腎症
副交感神経優位になるとリンパ球も過剰になるので、風邪を引いたとき、カタル性炎症も過剰になって出現します。それが辛い高熱、扁桃炎やアデノイドの炎症として表れることになります。扁桃腺やアデノイドは分泌型IgAを発生するので、これが過剰になり、一部血流をまわり腎の糸球体に沈着します。このようにしてIgA腎症が発症するわけです。
扁桃摘出手術でIgA腎症が軽症化するのは、IgAの産生部位を取り除くからです。しかし、完全ではありません。口蓋扁桃以外にも扁桃があるからです。むしろ、こういう外科的対症療法よりも、食生活や生活習慣の偏りを改善して過敏性体質そのものを正すのが根本的治療なのです。IgA腎症まで行かなくても、いつも扁桃炎を引き起こす子供や風邪のたびに高熱を出す子供は、体質改善が必要です。
糸球体腎炎
私達は激しいストレスに出合うと、血流障害や組織障害が起こります。そして、これらの状況を改善するために炎症が引き起こされるのです。その中の一つに血管炎があります。腎臓の糸球体組織は豊富な血管内皮細胞から成るので、血管炎が起こると、同時に糸球体腎炎が起こることにもなるのです。急性のストレスや慢性のストレスが急性糸球体腎炎や慢性糸球体腎炎を引き起こしているわけです。
こういう考え方ができないと、糸球体腎炎の発症を原因不明として、消炎鎮痛剤、抗生物質、ステロイド、免疫抑制剤などを使用する対症療法を行うことになってしまうのです。しかし、ここでも炎症は組織修復のための反応なので対症療法をやり過ぎると、病気そのものが治る機会を失ってしまいます。
自己抗体産生を伴うような病態のときは、ループス腎炎と診断されます。SLE(全身性ループス紅斑)とはっきり診断されて腎炎症状がでてもループス腎炎です。膠原病そのものが血管炎なので、血管内皮細胞の豊富な腎臓の糸球体は炎症の起こりやすい場所なのです。ループス腎炎でも、対症療法をやり過ぎると治る機会が失われることを理解し、むしろ、血流を増やして(からだを温めて)、組織修復を早く終わらすという考え方が大切です。
糖尿病腎症
年々、透析に入る患者が増加していますが、約半数が慢性糸球体腎炎から、残りが糖尿病腎症から透析に入っている状況です。糖尿病の治療がうまく行かないまま、腎障害を合併しているのです。糖尿病の治療が経口糖尿薬主体になってしまっていることが、病気を治せない原因でしょう。
糖尿病はストレスによる低体温と高血糖の体調になって発症します。この体調は交感神経緊張でもあるので、副交感神経支配下にある分泌現象も抑制されインシュリンの分泌が低下します。これが高血糖の原因にもなっています。短い時間で、低体温と高血糖になることは瞬発力をつくる「解糖系」には有利になりますが、「ミトコンドリア系」には不利になるのです。
ミトコンドリアは低体温ではエネルギー生成ができないので、生活習慣の無理を止め、からだを温めるのが糖尿病治療の原点なのですが、すぐに経口糖尿薬を使用して、膵臓を疲弊させる流れになっています。働き過ぎなどの生活の改善に目を向ければ、糖尿病も糖尿病腎症も克服できるわけです。解糖系からミトコンドリア系に戻すには、からだを温めること、深呼吸をすることが大切です。
妊娠腎も似たメカニズムが関わっているのでここで説明しましょう。妊婦が心身のストレスを受けて交感神経緊張状態になると妊娠腎を発症します。ストレスが交感神経緊張をつくり、高血圧症や高血糖や蛋白尿を招くので糖尿病腎症と発症メカニズムが少し似ているのです。こちらの場合は妊娠が終わると治るというのみの違いです。
ストレスからはじまっているということがわかると対処法もわかると思います。腎機能の維持にはミトコンドリア系働きが重要で、低体温と高血糖の持続がこれを破綻させ腎症を引き起こしているのです。
腎不全と人工透析
腎疾患が進行すれば、尿をつくることが十分できなくなり、クレアチニンやBUNなどの排泄すべき物質が血清中に増加してきます。患者の顔色がすぐれなくなり、頻脈などの交感神経刺激症状が出てきます。アシドーシスのためです。さらに進むと尿毒症となってきます。また高カリウム血症による心停止などが誘発されます。
一般的な腎疾患の治療法は、降圧剤と利尿剤の投与です。しかし、これらの治療法にも問題があります。腎障害のときのレニン、アンギオテンシン系の刺激は腎虚血を改善しようとするからだの反応として起こっているからです。したがって、単にこれらの反応を抑えるだけでは腎虚血の改善になりません。やはり、からだを温めて、適量の水分を補給して腎の血流を促し、レニン、アンギオテンシン系が必要以上に働くことがないという状況をつくる必要があります。
利尿剤の投与は強制的に利尿をつけるので脱水が起きるという危険を常に伴っています。脱水は血液濃縮によって、さらに腎虚血を促進します。こういう考え方がないと、利尿剤の使用で透析に入る時期を早めているという現実を引き起こすでしょう。
いずれにしても、腎障害にはいつも原因があり、生き方に無理があることから始まっているという根本に立ち返って、治療を進める必要があるのです。
管理者からの一言
白血球はマクロファージが変化というか、進化した、更に、マクロファージが筋肉も骨も、血管壁も作っていて、まるで、私達の身体はマクロファージから作られているのではないか、と思う程です。それならば、マクロファージを元気にする方法をおこなえば、病気の問題が解決できます。安保先生はからだを休める、からだを温めて血行を良くする、安心させる、をくり返していますが、飯山一郎さんは乳酸菌とマクロファージは同じ仲間で、豆乳ヨーグルトや発酵食品を進めています。日光浴もよいし、光線療法といって、コウケントー治療もあります。岩盤浴や陶盤浴、サウンドバス、砂の風呂、巷には色々な健康療法が溢れています。私はリンパマッサージを勧めます。空気も水も運動も大事です。病気を治す方法は、たっくさん、あります。しかし、我がリウマチの娘は、運動は嫌い、回帰水という高価な浄水器を買ったけれども、水は、おしっこが近くなるから飲みたくない、豆乳ヨーグルトは口にあわない、岩盤浴やサウンドバスはのぼせるから嫌、健康食品もアロエベラや三木プルーン、酵素ジュース、等は好きでない、玄米食は嫌い、体に悪そうなお菓子が好き、カップラーメンも好き、コーラーや甘い飲み物が大好き、母親として、健康に良いと思って勧めても、ほとんど拒否されてしまい、娘よりも私自身の身体の方がどんどん元気になってしまいました。結局、陶盤浴が、湿気が少なく、毎日、1~2カ月位通ってくれて、私のマッサージも毎日して、それが、効果があったのではないかなのかなと、振りかえってみて、考えています。
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