「コレステロール値」の嘘 第3部 意味のない「コレステロール値」で儲けている人たち 利権になっていた

健康食品や薬は巨大な市場だ〔PHOTO〕gettyimages

世界一売れている薬

「コレステロールの高い食べ物は身体に悪い」、「血中コレステロール値の基準値を少しでも超えると危険」……。
ここまで読まれた読者は、コレステロール値について、私たちが信じ込まされてきた「常識」がことごとく間違いであることがおわかりになったことだろう。
なぜこれまで真実が隠され続けてきたのか。その背景を名古屋市立大学名誉教授の奥山治美氏が語る。
「いままで古い常識が通用してきたのは、『コレステロール値が高いと危険だ』という話で儲ける人たちがいたからです。
私は’00年頃から自分で調査した証拠に基づき、様々な学会を批判してきましたが、誰も受け入れようとしなかった。それは学会の中に、製薬会社や食品メーカーからかなりの金銭的サポートを受けているところが少なくないからです。彼らのためにも、誤りを認めるわけにはいかなかったのでしょう」
血中コレステロール値を下げるために広く使われている薬が、スタチンというジャンルの高脂血症治療薬だ。
市場調査会社・富士経済によれば、これら高脂血症治療薬の各社の売り上げの合計は年間約3801億円(’10年度)となっている。
スタチンを飲んでいる患者は世界で4000万人以上いて、「世界一売れている薬」という異名を持つ。
 

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「コレステロール値」の嘘 第1部 理事長を直撃! 「食事制限」はまったく無意味だった

卵、チーズ、たらこ、うなぎ……もう気にする必要はない〔PHOTO〕gettyimages

「いや、卵はちょっと遠慮しているんです」。飲み会でもこう言って節制をしていたけれど、何の意味もなかったなんて。コレステロールと健康の本当の関係を明らかにする。

画期的な「変更」

何を食べても体内のコレステロール値は大きく変わらない—。
5月1日、日本動脈硬化学会がこんな声明文を出したのをご存知だろうか。
「コレステロール摂取量に関する声明」と題された声明文には次のように書かれている。
〈(厚労省のまとめた)『2015年日本人の食事摂取基準』では、健常者において食事中コレステロールの摂取量と血中コレステロール値の間の相関を示すエビデンス(編集部注・科学的根拠)が十分ではないことから、コレステロール制限は推奨されておらず、日本動脈硬化学会も健常者の脂質摂取に関わるこの記載に賛同している〉
回りくどい言い方だが、コレステロールの高い食品をいくら食べても、血中のコレステロール値にはまったく影響がないことが明らかになったというのだ。
しかし、これまで厳しい食事制限を喧伝してきたのは同学会である。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』(’12年度版)によると、「予防のための食事」と題し、「1日のコレステロールの摂取量を200mg未満に抑える」と書かれている。
卵1個のコレステロール含有量は約210mg。たらこ1本(60g)も約210mgという数値なので、極めて厳しい基準であることがわかる。
それでも、この基準を信じ、「卵は一日1個まで」と節制してきた人も多いだろう。

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