炭酸水の作り方(クエン酸+重曹)
ヒショです。もう夏も終わりですね。
今年の夏のブームは炭酸水でした。私はガス入りの水が好きで、特に暑い時は毎日飲みたいのです。でも毎日買うのはもったいないとぼやいていたら、所長が(勤務時間をつかって)いろいろ作り方を調べてくれました。手作り炭酸水はわりと簡単で楽しいですよ。
以下、所長による渾身の炭酸水レシピです。
(長いので、単に炭酸水つくりたい人は⑧だけ見てください)
(2009/09/05)
■ クエン酸と重曹(炭酸水素ナトリウム)と水による炭酸水の作り方
※
ここに書いてあるのを元にやって何か問題が起こっても責任はとれません。発生した炭酸ガスが極端に多すぎたり、凍らせたりすると爆発することもあるそうです。試す場合は自己責任にてお願いします。ナトリウム(≒塩分)が含まれていることにも注意ください。
○炭酸水は水に炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けることでできる。
○「クエン酸+炭酸水素ナトリウム(重曹)→二酸化炭素」の反応化学式
クエン酸 + 炭酸水素
ナトリウム→ クエン酸
三ナトリウム+ 水 + 二酸化炭素 CH2-COOH CH2-COONa | | HO-C-COOH + 3 NaHCO3 → HO-C-COONa + 3 H2O + 3 CO2 | | CH2-COOH CH2-COONa
つまり分子数比にすると、二酸化炭素3を作るのに、クエン酸1と炭酸水素ナトリウム3が必要。
発生する水は少量なので無視する。一緒にできるクエン酸三ナトリウムはちょっと塩味がするけど、あまり気にしない(ナトリウム摂取量を気にする人は気にしてください)。
① 作りたいもの:ガスボリューム(GV)3.0 の炭酸水 500cc(0.5 L)
※いろいろな炭酸飲料のガスボリューム。
② ①に必要な二酸化炭素(モル質量 44.01 g/mol)
・体積 (L) : 水の体積 (L) × GV
= 0.5 × 3.0 = 1.5 L
・質量 (g) : 体積 (L) × CO2の気体密度 (g/L)
= 1.5 × 1.98 = 2.97 g
・モル数 (mol) : 質量 (g) ÷ モル質量 (g/mol)
= 2.97 ÷ 44.01 = 0.067 mol
③ ②に必要なクエン酸(無水、モル質量 192.12 g/mol)
・モル数 (mol) : 二酸化炭素の1/3
= 0.067 ÷ 3 = 0.022 (mol)
・質量 (g) : モル数 (mol) × モル質量 (g/mol)
= 0.022 × 192.12 = 4.315 g
④ ②に必要な炭酸水素ナトリウム(モル質量 84.007 g/mol)
・モル数 (mol) : 二酸化炭素と同量
= 0.067 mol
・質量 (g) : モル数 (mol) × モル質量 (g/mol)
= 0.067 × 84.007 = 5.661 g
⑤ まとめ:500ccの水に対し、クエン酸 4.3g、炭酸水素ナトリウム 5.7g で GV3.0 の炭酸水ができる
(あくまでクエン酸と炭酸水素ナトリウム100%の製品を使用し、かつすべてが反応し、かつ発生した二酸化炭素がすべて水に溶けると考えた時の数字。実際には、作業過程で二酸化炭素が逃げるから、これではGV3.0に満たないと思われる。何度か試して好みの量を調節するとよい)
⑥ コスト:クエン酸、炭酸水素ナトリウムを500g単位で買えば、500ccの炭酸水を作るのにかかるコストは、約17円。
⑦ まとめのまとめ:0.1g単位で測るのが面倒な場合、クエン酸と炭酸水素ナトリウムを小さじ1杯ずつ、と考えても結果に大差ない。
⑧ 炭酸水(3.0GV, 500cc)の作り方
1)
炭酸飲料用のペットボトル500ccを用意する。フタも炭酸飲料用のものを使う。水はミネラルウォーターがベター。少なくとも一度沸騰させた水道水(うちでは近所の神社の井戸水を使用)。
2)クエン酸と重曹を各小サジ1杯、それぞれ250ccの水によく溶かす。
3)それを500ccのペットボトルに静かに素早く入れて、即、フタをする。軽く混ぜる。
【より簡便な方法を確認 10.02.28】
2’)
クエン酸と重曹を各小サジ1杯、粉末のままペットボトルにいれる。
3’)
水をペットボトルに注ぎ、素早くフタをしめてから、よく振って混ぜる。
★最大のポイントは、水をあらかじめ十分に冷やしておくこと。
一般に、固体・液体は温度が高いほど水に溶けやすく、逆に気体は温度が高いと水に溶けにくい。つまり、水温が低いと重曹・クエン酸は水に溶けにくく=両者の反応の進行が遅く、蓋をするまでの間に逃げるCO2を減らすことができる(反応が速すぎると、水を注ぐそばからシュワシュワして、ペットボトルから溢れてしまう)。その一方で、水温が低いほど気体のCO2はよく溶ける=炭酸がきつくなる。
★もう一手間かけて、オブラートを使う方法をコメント欄に追記。
4)
しばらく冷蔵庫にいれて、反応が完全に終わりCO2が水に溶け込むまで待つ。この時ペットボトルを上下逆さにして置いておくと、フタの隙間からガスが逃げるのを防げる(はず)。
5)
飲む前にレモンなど絞ると美味し。甘くしたかったら砂糖は溶けにくいからシロップで。
※ 注意1:二酸化炭素が発生しすぎると爆発するかもしれないので、分量には注意!
※ 注意2:重曹5.7gには約1.56gのナトリウム(塩化ナトリウム約4g相当)が含まれる。ナトリウム摂取量を気にする人は留意のこと。
● 追記:炭酸水の「味」について(10.06.25)
「手作り炭酸水は不味い!」という話を時折聞く。たしかに重曹とクエン酸だけの炭酸水は、ほのかにしょっぱいだけで特に旨いとはいい難い。とはいえ適切に作れば、「うぇ不味ぃ」と感じる人はあまりいないと思う。できた炭酸水がとっても不味い場合、以下のようなことが原因ではないだろうか。
①水そのものが不味い
【改善方法】浄水器、ミネラルウォーター、井戸水、湯冷まし等を使う。
②炭酸が弱い、ぬるい
ぬるい気の抜けた炭酸水は、何故かただの水より不味い。開放容器(コップ等)で混ぜると炭酸はとても弱くなる。水温が高いのも×。
【改善方法】発生した炭酸ガスが逃げないよう気をつける。水の注ぎ方や蓋の閉め方に注意し、よく冷やす[→作り方の3’★]。材料の分量を増やす。
③重曹が多い
炭酸水素ナトリウム(以下、重曹)がクエン酸に対して多い場合、反応せずに残った重曹が、苦みのある炭酸ナトリウム(Na2CO3)に変化していることが考えられる。
【改善方法】重曹よりクエン酸を気持ち多めにいれる[→④]。
④クエン酸の味が好みに合わない
クエン酸の味が当然する。柑橘系の風味だが気になる人もいるだろう。また、クエン酸が重曹に対して多いと酸味が残る。
【改善方法】酸味を無くすにはクエン酸を減らす[→③]。クエン酸の代わりに酒石酸などを用いてみる?(未検証)
⑤塩味が気になる
ナトリウムによる塩味は避けられない(食塩よりずっとマイルドだが)。
【改善方法】ナトリウムの量を減らす=材料の分量を減らす(炭酸を弱くしないためには[→②])。別の味を加える[→⑦]。
⑥他の成分が含まれている
「重曹」や「クエン酸」として販売されている製品には、炭酸水素ナトリウムとクエン酸以外の成分を含んだものがあり、それらが味に影響している可能性がある。
【改善方法】純粋な(100%に近い)製品を使用してみる。
⑦別の味を期待している
市販の炭酸清涼飲料水にあるような甘みや旨味を期待していれば、「不味く」感じるだろう。
【改善方法】甘みや旨味を加えてみる(果汁を足すのが簡単)。炭酸水に期待する味を考え直す。
○参考サイト
http://questionbox.jp.msn.com/qa3039233.html
http://eniguma.blog85.fc2.com/blog-entry-1177.html