お腹がいっぱいなのに、「デザートは別腹」、「残すのはもったいない!」と食べ続けると脳からオレキシンという神経細胞が分泌されます。オレキシンは1998年に発見された神経ペプチドで、摂食と睡眠に深く関わっている成分。食べ過ぎで、オレキシンが過剰に分泌されると、脳を覚醒させて睡眠障害を招くこともわかっています。動けなくなるほどご馳走三昧だった夜に寝つきが悪くなってしまうのは、オレキシンが災いしているかもしれません。
特にダイエットの反動や日常の様々なストレスから“やけ食い”傾向に陥っている時は、オレキシンが猛威をふるっています。また、食事の量よりもスイーツがやたらと食べたくなる“甘味依存症”も糖分でオレキシンが活性化されてしまいます。三度の食事が炭水化物ばかりという人も、炭水化物は体内で糖質として処理されるので、スイーツ同様に注意が必要です。
食べ過ぎ傾向の時や、スイーツや炭水化物ばかり食べてしまう人は、“食事を残す勇気”を持って、次の一口をグッと堪え、満腹中枢からレプチンというホルモンが分泌されるのを待ってみましょう。レプチンはオレキシンを抑え、食欲も抑えてくれるありがたい存在。食後20~30分ほどで分泌されます。ダイエットをしていても、お腹いっぱい食べることを自分に許すと、努力が水の泡となってしまいます。このレプチンの分泌を待つ20~30分のガマンが、ダイエットの明暗を分けることになるでしょう。ヒトのカラダには素晴らしい機能があるので、大いに利用してオレキシンの猛威に負けないようにしましょう。
また、食欲を抑えることができても、オレキシンが過剰分泌されていると、その影響で神経が興奮状態になって夜、目が冴えてしまう場合もあります。オレキシンは、睡眠時に分泌されるGABAという成分で静まる仕組みになっていますが、なかなか眠れない時は、お風呂に入ったり、生姜湯を飲むなどして体温を上げ、その後、体温が冷えていく過程でGABAと共に副交感神経が優位になって眠くなってくるので、このタイミングでベッドに入りましょう。
睡眠不足が続くと、食べ過ぎ傾向になりやすいグレリンやオレキシンの過剰分泌を誘うことにもなるので、ダイエット中の時こそ、睡眠時間の確保も大切です。