http://www.mobara.jp/nisimori/2/newpage75.index.html (引用)
植物にリン酸を十分に施しても マグネシウムが不足すると吸収が悪くなり、植物はうまく生長することができません。 … ミネラルを含んでいない野菜や果物をいくら食べても、
土壌ミネラル不足
農薬夜土壌の汚染は、さらに深刻な社会問題になっています。微生物の減少は、ミネラルの欠乏に直結します。
人間の存在に必要なミネラルを供給してくれる植物は、土からその栄養分を吸収します。植物には炭酸ガスと水と太陽光線だけがあればいいというわけではありません。植物の遺伝子は、ミネラルを必要とします。さらに植物の生命を支えるタンパク質は、ミネラルを触媒にしなければ生成されません。
植物は、根の先から根酸を出して土を溶かし、その中に含まれているミネラルを吸い上げて、
葉に送り込みます。そこではじめて、光合成が可能になるのです。またミネラルがイオン化されて水に溶けていれば、すぐに吸い上げることができます。
葉緑素にとって、マグネシウムはその中心となるミネラルです。植物は葉緑素の構成の中心にマグネシウムがあるために、緑色をしています。マグネシウムが欠乏すると葉緑素が減少して黄色くなり、光合成が衰えて糖類やデンプンが少なくなります。またマグネシウムは植物の酵素を活性化する触媒の働きもします。さらにリン酸吸収・運搬を助けます。植物にリン酸を十分に施しても マグネシウムが不足すると吸収が悪くなり、植物はうまく生長することができません。 以前は、人糞や堆肥などの有機肥料を使用していましたから、ミネラルが合理的に循環していたのです。ところが化学肥料は、植物の三大栄養素である窒素、リン酸、カリウムを配合したものが大部分です。
しかし、今お話ししたマグネシウムのようなミネラルが入っていないと、植物はバランスとのとれた成長が出来なくなってしまうのです。
その上、殺虫剤や殺菌剤、除草剤、植物成長剤から殺鼠剤、その他さまざまな農薬が使われるようになり、生態系の物質循環に重要な働きをする微生物が殺されています。微生物の体内にはたっぷりとミネラルが含まれており、植物の成長に必要なミネラル・バランスを作り出すのです。 その微生物が死んでしまえば、農作物はミネラルが欠乏した空っぽの作物になってしまいます。
農作物を経済効率に基づいて大量生産するためには、それに見合った量の化学肥料を投入しなければなりません。また、大量の農薬を散布しなければなりません。店頭に並べられている農作物は、いかにもきれいで美味しそうですが、炭水化物もタンパク質も、脂肪もビタミンも、ミネラルも 不足した欠陥商品なのです。特に、微量元素のミネラルは、無いのと同じといってもよいほどの 欠陥商品なのです。
ミネラルを含んでいない野菜や果物をいくら食べても、身体のためにならないばかりか、 残留農薬によって病気にされてしまう危険性さえ含んでいます。
人類は食糧確保のために、農業技術を最優先して開発してきました。品種を改良し、窒素、 リン酸、カリウムを人工的に与えて育てる無機農法を開発し、最近では遺伝子組み換え作物まで作りだしています。
この、大量生産、大量供給の必要に迫られ、良かれと信じてきた近代農法には、実は大きな落とし穴があったのです。結果的に、先進国の人々に現代病をまん延させる原因を作ってしまったのです。 私たちが食べている野菜、穀物、その穀物を食べている家畜の肉に、微量元素がほとんど含まれなくなったという実態を、世界中の科学者が気付かなかったために、悲劇が起こっているのです。日本だけで、毎年60万人以上の人たちが、農業政策の間違いのために死んでいると言っても過言ではありません。 私たちは、効率的な社会を作りあげ、作物自体の遺伝子を使わないで実らせたり、葉を茂らせたりする無機農法の技術を開発して、ミネラル不足の農産物を大量に作り出すという大きな過ちを犯してしまったのです。
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美味しい野菜には、うま味の要素のバロメータであるグルタミン酸、イノシン酸などのアミノ酸の量が関係しています。これらのアミノ酸の代謝にはミネラルが必要です。
日本の近代農法によって、野菜に含まれるミネラルは極端に少なくなっています。つまり、 アミノ酸を代謝できないうま味の失われた野菜になってしまっているのです。
下の表は、科学技術庁が2001年に発表した五訂食品標準成分表によるものですが、1952年と2001年の30年間の野菜に含まれる栄養素を比較したものです。
これを見るとほうれん草の場合は、この30年の間にビタミンAが約半分、ビタミンCが約四分の一、鉄分が約六分の一に減少していることがわかります。
リンゴを見ると、ここの30年の間に鉄分がほぼ無くなっているというありさまです。
野菜の栄養調査 | ||||
栄養素 | 1952年 | 2001年 | 52/01年 | |
ほうれん草 | ビタミンA ビタミンC 鉄分 |
8000 150 13 |
4200 35 2.0 |
52.5% 23.3% 15.4% |
ニンジン | ビタミンA ビタミンC 鉄分 |
13500 10 2 |
9100 4 0.2 |
67.4% 40.0% 10.0% |
トマト | ビタミンA ビタミンC 鉄分 |
400 5 52 |
540 0.2 26 |
135% 4.0% 50.0% |
ミカン | ビタミンA ビタミンC 鉄分 |
2000 29 2 |
35 17 0.1 |
1.7% 58.6% 5.0% |
リンゴ | ビタミンA ビタミンC 鉄分 |
10 5 2 |
21 4 Tr |
210% 80.0% 0% |
科学技術庁 五訂食品標準成分表より
1952年と2001年調査との比較
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原因は明らかです。かつての有機農法が衰退した結果、土壌から有機物とミネラルがなくなり、 栄養のない空っぽの量産されるようになってしまったからです。
しかしそのことに気づきさえすれば、農業の軌道修正ができるはずです。 肥料に微量元素をイオン化させて混入させるなどの施策を行えばいいからです。
つまり、無機農法にミネラルの助けを加えることで有機農法に近づければ、問題を解決することは可能です。そのためには農林水産省が、肥料製造会社に微量元素を肥料に混ぜるように行政指導をするなどが必要となるでしょう。
イオン化した微量元素は、雨が降ると流れ去ってしまいます。どのような形で土壌に保持させたらいいか、技術的な問題はあるものの、現在の技術で十分可能ですし、ミネラルがバランスよく含まれた原料となる花崗岩は無尽蔵にありますから、不可能ではありません。
土壌のミネラル不足は野菜からおいしさを奪っただけでなく、生活習慣病を蔓延させる原因も作り出しています。
人体は60兆個の細胞によって作られますが、そのひとつひとつの細胞の代謝の働きを促進するのが微量ミネラルです。
これからの医学を考える上で、もっとも大事なのがミネラル・バランスをどうやって回復したらいいかという課題なのです。
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