食べすぎなのか最近血糖値が上がってきたなんてことありませんか?実はその原因に ある意外な生活習慣が大きく関わっていることが近年分かってきたのです。
その生活習慣とは毎日の睡眠!
睡眠に問題があると様々な生活習慣病や身体の不調を起こすリスクが高まることが判明したんです。
この記事では悪い睡眠で起こる睡眠中の血糖値の上昇とそれを良い睡眠によって解消する方法を紹介します。
もくじ
睡眠で解消できる高血糖
睡眠によって解消できる不調1つ目は高血糖です。
自分では気づかないうちに上がってしまっていることが多い血糖値。
そんな高血糖を長年放置すれば糖尿病(2型)を発症し心筋梗塞・脳梗塞など命に関わる事態に陥るリスクが増大してしまうのです。
とはいえ、美味しいものをいっぱい食べたいし運動もあまりしたくないというのが本音ですよね。
そんな私のような人間に朗報なのが、近年の研究で血糖値のコントロールに私たちの睡眠が大きく関わっていることが分かってきたというもの。
夜間高血糖とは
最近の研究で良い睡眠をとっていれば寝ている間に血糖値は下がり、逆にある悪い眠り方をしていると何も食べていないのに睡眠中血糖値が上がってしまうということが分かりました。
この悪い睡眠をとり睡眠中に血糖値が上がってしまう現象を夜間高血糖といい、近年の研究でこの夜間高血糖を引き起こしている人が意外に多いことが判明しました。
そこでまずは血糖値を上げてしまう悪い眠り方を大検証します。
血糖値を上げてしまう悪い眠り方
番組では1週間悪い眠り方をしただけでどれだけ血糖値が上がってしまうのか調べていました。
検証方法は至ってシンプル。
食事や運動習慣は全く変えず1週間ふだんとは違う悪い眠り方をしてもらうだけ。
1週間後朝起きた直後の血糖値がどれほど変化しているかを調べます。
今回検証に参加してくれるのは血糖値に問題がない40代の男女2名。
男性・河盛さん(正常な血糖値・87㎎/dl)と女性・吉川さん(正常な血糖値・87㎎/dl)で、お2人とも検証前の血糖値は正常範囲で問題無しです。
果たしてこの87という数値が1週間でどれほど上がってしまうのでしょうか?
2人には自宅で血糖値を上げる悪い眠り方を実行してもらいました。
そして検証開始から1週間して再び吉川さんのお宅を訪ね、血糖値を測定。
吉川さんの血糖値は97で検証前は変化のなかった血糖値が10も高い数値になっていました。
そして河盛さん87が89へと若干ですがやはり血糖値は検証前より高くなっていました。
では2人の血糖値を上昇させてしまった悪い眠り方とはどんなものなのか?
実は2人には睡眠時間をふだんより1時間短くしてもらっていたのです。
この短い睡眠こそが血糖値を上げる悪い眠り方で、たったこれだけのことで2人の血糖値は上昇してしまったと考えられるんです。
睡眠時間を短くすると血糖値が上昇する理由
なぜ眠る時間を短くすると血糖値は上昇してしまうのでしょうか?
その理由を愛知医科大学病院 睡眠科教授の塩見利明先生に伺いました。
塩見先生は大学病院として日本で初めて睡眠科を創設し、睡眠に悩む多くの患者を救い出してきた睡眠医療の第一人者です。
先生によると、私たちの血糖値はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンが血糖値を下げるブレーキの役目を果たし、副腎から分泌されるノルアドレナリンというホルモンが血糖値を上げるアクセルの役割を果たしバランスを取っています。
通常ノルアドレナリンは私たちが活動している間の分泌が比較的多く眠りに入ると分泌が少なくなります。
しかし睡眠時間が足りない状態が何日も続くと夜は休まるはずの交感神経がずっと活性化してしまい、その影響で次第に寝ている間もノルアドレナリンの分泌が続くようになり血糖値も高い状態が続くことになってしまうんです。
つまりこれこそが、夜間高血糖と呼ばれる状態なのです。
では今回の検証では寝ている間の血糖値はどう変化していたのでしょうか?
今回ご協力頂いた河盛さんの検証前の睡眠中の血糖値の変化は以下の通り。
午前0時の就寝時間に向かって血糖値は緩やかに下降し、就寝中は低い状態でほぼ横ばいです。
血糖値が再び上昇するのは起床する直前の午前6時頃からでした。
つまり睡眠中のこの低い血糖値の変化こそ正常なものなのです。
ではここに悪い眠り方をして3日目のグラフを重ねてみるとご覧のように正常範囲内ではありますが全ての時間で血糖値が高くなっていたのです。
(濃いラインが悪い眠り方のグラフ)
就寝直後に血糖値は若干下がるものの僅か30分で上昇を開始、その後再び下がり始めたのですが血糖値の下降は午前3時40分にストップ。
そしてなんとそこから上がり始めました。
何も食べていない就寝中にもかかわらずゆっくりと上昇してしまったのです。
夜間高血糖は食後の血糖変化のように一時的なものではなく睡眠中の多くの時間で高血糖が続いてしまう非常に危険な状態なんです。
今回、河盛さんにみられたのはあくまで正常範囲の中での血糖変化でしたが この状態が長年続いた場合、インスリンを分泌するすい臓がふだんは働かない夜間も働き続けるため徐々に疲弊し、やがてインスリンを分泌できなくなって糖尿病を発症すると考えられているのです。
ここに驚くべき研究報告があります。
日本人およそ3500人を調べた北海道大学の調査によれば7時間を超える睡眠をとる人に比べ5時間以下の人の糖尿病発症リスクは、なんと5.4倍も高いことが分かったというのです。
恐るべし睡眠と血糖値の因果関係!!
テレビだけでなくパソコン・スマートフォンなどついつい夜更かししてしまう理由があふれる現代では夜間高血糖は今後ますます増えていくと危惧されています。
夜間高血糖を防ぐための睡眠時間
睡眠不足が夜間高血糖が引き起こすことは分かりましたが、夜間高血糖を防ぐためには一体どれくらいの睡眠時間が必要なのでしょうか?
最新の疫学調査で判明した夜間高血糖を防ぐのに必要な睡眠時間は睡眠時間と糖尿病の発症リスクの関係を調べたアメリカ・イェール大学などの調査によると睡眠時間7時間の糖尿病リスクを1とした場合、6時間ではおよそ2倍、5時間ではおよそ2.5倍と睡眠時間が短いほどリスクが上がります。
一方、8時間を超え長く寝すぎた場合もリスクは上がってしまうという結果が出ています。
つまり夜間高血糖を防ぐためには、7時間~8時間の睡眠をとることが重要となります。
ちなみに冠動脈疾患(いわゆる狭心症・心筋梗塞)など非常に危険な病気のリスクもやはり8時間睡眠で一番少ないという研究結果が出ていて、睡眠が短くなるほど危険率が高まります。
睡眠時間を改善すると血糖値は良くなるのか?
ここで気になるのが7時間~8時間寝るようにすれば夜間高血糖の血糖値の改善は見込めるのかどうかということ。
塩見先生によると、きっちりと7時間もし寝られれば夜間帯に身体を休めることが本当に出来、そこで夜に休む・朝に元気に働くというふうにスイッチを切り替えていくと血糖値も普通に下がって普通に上がるというパターンになってくるそうです。
というわけでここで、適切な睡眠時間をとることで血糖値は改善するのか検証してみました。
検証に参加するのは2年前に無料の健康診断で空腹時の血糖値が100と正常値の上限である99を初めてオーバーしてしまった天川さん。
今後糖尿病になる可能性が高い要注意ゾーンに入ってしまったのですが、天川さんの高血糖の原因は夜間高血糖と関係はあるのか?
そこで特別な医療機器を使い夜間の血糖値の変化を測ってみました。
天川さんの就寝時間は、丑三つ時も過ぎた午前3時半頃で起床したのは朝8時半頃。
睡眠時間は5時間程度でいつもこのぐらいだそうです。
睡眠時間が5時間程度しかない天川さんの睡眠中の血糖値がどのように変化していたのか血糖値の変動を確認してみました。
正常な人の場合、睡眠時の血糖値は就寝時間に向かって血糖値は徐々に低下し、睡眠中も低い値をキープすることで起床時の空腹時血糖値を低く抑えられています。
しかし天川さんの睡眠時の血糖値変動をみてみると、血糖値は就寝から起床に至るまで全ての時間で高くなっていて、これは完全に夜間高血糖の状態といえます。
天川さんの朝の空腹時血糖値はどうなっているのか測らせてもらうと天川さんの現在の血糖値は115と2年前の数値より15も上がってしまい、糖尿病予備軍だということが判明しました。
この想定外の結果には天川さんも愕然としてしまいましたが、ふだんの短すぎる睡眠時間から夜間高血糖の状態に陥り、血糖値が引き上げられていると考えられます。
そこで7~8時間の適切な睡眠時間で血糖値がどれほど改善するのか検証してみることに。
やり方は純粋に睡眠の効果を調べるため食事や日中の運動などの生活習慣は全く変えず現在の午前3時前後の就寝時間を12時半に変えてもらうだけ。
検証期間は10日間で、睡眠時間だけで天川さんの空腹時血糖値がどう変化するのかを確かめます。
夕食に居酒屋で鶏の湯引き・チキン南蛮・焼き鳥8本・ラーメン、アイスクリームとかなりの量の食事をとったあとに、しっかり8時間睡眠をとった天川さんに空腹時の血糖値を測らせてもらうと、一晩ぐっすり眠ったおかげなのか血糖値は115から105に減っていました。
正常値には届きませんでしたが昨晩かなりの量を食べたのに血糖値は低下していました。
2日目の空腹時血糖値は103とさらに血糖値は改善されており、さらには体全体の調子も良くなりました。
これは良い睡眠で血糖値が改善してきているということでしょうか。
折り返し地点の5日目、再び睡眠中の血糖値の変動がどうなっているのか持続血糖モニター(医療機関のみ購入可能・個人不可)で調べて、検証前の夜間の血糖値グラフに結果を重ねてみました。
すると就寝中のすべての時間で血糖値が低く抑えられている状態になっており、朝の空腹時血糖値を測ってみると105とやはり睡眠効果が表れているようです。
血糖値が下がってきていることに気をよくした天川さんは大好物の焼肉を食べに出かけ、検証中だというのに「牛タン」に「ロース」「ハラミ」「ミノ」など合計1100kcal余りを食べてから8時間の睡眠をとりました。さすがにこれだけ食べれば血糖値が上がっているのでは?と思いましたが、なんと翌朝には、これまでで最も低い101をマーク。
適切な睡眠時間をとり続けてきた効果が本格的に出てきたのでしょうか?
その後も103・108・103と一進一退を繰り返しながら徐々に血糖値は下降傾向になり、いよいよ10日目、最後の血糖値測定です。
その結果は、なんと血糖値は99!!
10日目にして初めて100を切り見事正常値へと引き下げることに成功したのです!
わずか10日で天川さんの血糖値を改善した驚くべき睡眠パワー!
一日7~8時間の睡眠がこんなに重要だとは思いませんでした!!
実は私の家族にも糖尿病を患っているものがいるので、私も睡眠には気を付けないといけないなと真剣に思います。
普段は4~6時間という睡眠時間が一番多いし、休日は12時間くらい寝てしまうので、出来るだけ12時には寝るようにして7時間は必ず寝て休日もそのペースを崩さないようにすることを心がけなくてはと思いました。
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