過眠型睡眠障害を引き起こす物質「ソムノジェン(somnogen)」を発見

児慢性疲労症候群(CCFS)は以前のエントリで取り上げたように、過眠型睡眠障害と関わりが深い病気です。過眠型睡眠障害とは一日の総睡眠時間が10時間以上になる状態のことです。
小児慢性疲労症候群(CCFS)の過眠型睡眠障害は、主に睡眠相後退症候群非24時間型睡眠障害として表れますが、より重いものとしてはナルコレプシーやクライネ・レヴィン症候群があります。
WSJによると睡眠を週70時間以上(1日10時間以上)取っているにもかかわらず眠気に襲われる幾つかの疾患を患う人を調べたところ、一部の患者の髄液に天然の睡眠薬の働きをする物質が含まれていたそうです。
過眠症患者の髄液に睡眠誘発活性化物質が存在 米チームが謎を解明へ – WSJ日本版 – jp.WSJ.com

脳自体が脳を鎮静させていた

2005年、米エモリー大学の研究チームは異常過眠の患者の髄液を調べたところ、睡眠誘発物質、いわゆる「ソムノジェン(somnogen)」を発見しました。その物質は脳内のGABAを過剰に活性化させていました。GABAは眠りを誘う天然の脳内化学物質です
それに対し、救急救命室で鎮静剤の過剰投与効果をなくす際に用いられる薬品、フルマゼニルで治療を試みたところ、眠くならずに過ごせるようになりました。
これまでのところ、睡眠外来の患者32人の髄液でソムノジェンが検出され、「米国人800人に最大1人の割合で髄液にこの物質があり、これが強い眠気が起こるその他の疾患の一因かもしれない」と考えられています。
この「ソムノジェン」が見られるのは、別の疾患が関係しない「原発性過眠症」の場合です。この記事では「過眠症は青年期の終わりに始まることが多いため、ティーンエージャーに多く見受けられる睡眠問題と混同されやすい」と書かれています。
また『「過眠症は就職しようとしたり家族を持ったりする時期、つまり若年の成長期にある人々を襲う傾向にある」が、「その多くは怠け者ないしドラッグシーカー(薬を欲しいがために受診している人)として見過ごされている」』と指摘されています。
もしかすると、成長期に発症するCCFSのメカニズムと関係があるかもしれないので、記事として残しておこうと思います。