アディポロン治療対象者

健寿堂カルテ

2013年11月8日 15時00分11秒 (Fri)

糖尿病・肥満症治療薬

体内で血糖値を下げたり脂肪を燃やしたりする物質を東京大学研究チームが発見し、10月29日,東京大学大学院の門脇孝教授らの研究グループは記者会見を開き,研究成果について発表した。糖尿病の患者や、運動不足などからメタボリックシンドロームになった人では、血糖値を下げたり脂肪を燃やしたりする「アディポネクチン」というホルモンの分泌が大幅に減ってしまいます。今回,肥満によって減少してしまうアディポネクチンと同じような働きを持つ化合物を同定。研究グループは、600万種類以上の物質の中からこのホルモンと同じ働きをする物質を探し出し「アディポロン」と名付けました。要するに肥満を改善する善玉ホルモンです。そして「アディポロン」を糖尿病のマウスに投与したところ30%だった生存率が70%にまで高まったほか、脂肪肝のマウスでも症状の改善が見られたということです。
研究を行った山内敏正講師は「重い心不全の人や太りすぎで膝や腰の悪い人は運動が必要でもできないことがある。この物質が糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防や治療,健康寿命の延長につながる有効な経口薬の種となる可能性が高いとして,まずは今後5年以内の臨床第Ⅰ相試験を視野に創薬を目指したい」と話しています。
また、9月20日、肥満症治療薬のセチリスタット(商品名オブリーン錠)が製造承諾を取得した。適応は「肥満症(ただし、2型糖尿病及び資質異常症を共に有し、食事療法・運動療法を行ってもBMI25以上の場合に限る)」。これまで肥満治療薬としては、米国で開発された食欲抑制剤のマジンドール(商品名サノレックス)が1973年世界的に使用され始め、日本でも1992年から臨床使用されているが、あくまで摂食中枢への食欲抑制作用を示す薬剤である。承認されたセチリスタットは、リパーゼを阻害することで、腸管からの脂肪吸収を抑制し、体重を減少する。ただし、臨床試験では60.3%に主に下痢・脂肪便などの副作用を示します。
運動が必要とされながらもそれが病状から叶わないという病気の人には待ち望んでいた薬です。ただし、残念ながらダイエット目的では使えないので間違えないでください。
小西

どうしても薬の開発。糖質制限は儲からないし、食べ方つまり生き様は …

 

どうしても薬の開発。糖質制限は儲からないし、食べ方つまり生き様は変えることが困難。

2016-07-11 10:21:09 | 屁理屈医師

アディポロンについて

脂肪細胞から分泌されるホルモン(アディポサイトカイン)のうち、一番中心になる超善玉ホルモンこと『アディポネクチン』については、ここでも何度か書いてきましたし、検査料がかなり安くなったので最近うちのドックでも採用されました。これによって動脈硬化を抑えて心筋梗塞を予防したり老化を抑えたりする・・・現代社会において目の敵にされている脂肪の主たる仕事がこれであり、その主役を演じているのがアディポネクチンです。つまりアディポネクチンの作用は抗加齢を実践し健康長寿を得るために必須のホルモンといわれています。
ホルモンが作用を起こすためには受容体と呼ばれる鍵穴にホルモンがはまり込むことが必要です。アディポネクチンの受容体であるAdipoR1とAdipoR2はほとんどすべての臓器に存在するそうですが、メタボになるとアディポネクチンと一緒にこの受容体も各臓器で減って機能しなくなり、その結果、糖尿病、脂質代謝異常、脂肪肝、心血管疾患、がん、認知症などを引き起こすとされています。
アディポネクチンをくすりで作り出す研究は遅々として進みませんが、アディポネクチンの受容体に作用してアディポネクチンのフリをする物質『AdipoRon』・・・これについて、先日の抗加齢医学会総会教育講演で、開発者である東京大学の門脇孝先生のレクチャーを受けました。「すごいな!」と感動しながら聴いていましたが、実はこれが開発されたのはもう3年くらい前のはなし・・・なかなか動物実験レベルから前には進んで行かないものなのですね。初めてみる単語だと思ったのに、検索してみたら、とっくにここで紹介していました(汗) 興味のある方は、論文レビューなどご参照あれ。