妊娠前も、たまに足がつることはありましたが、妊娠してからは就寝中に足がつって目が覚める、なんてことを結構経験するようになりました。
そして、その時に処置を中途半端に済ませて寝直したため、起きてからも脚の痛みと戦うハメに……(数日、辛い思いをしました)
今回は、その「足がつる」(こむらがえり)原因と、その原因から考える解消法をご説明します。
妊娠中に足がつるのは、一種の生理現象とも言えます。
そもそも、筋肉がつるというのはどういう現象でしょうか。
これにはいくつか原因がからんでいます。学生時代に、これについてのレポートを書いた記憶がありますが、臨床的に生命を脅かすものではないからか、正書にはっきりと記載されたものは少なかった記憶があります。
今回、ブログを書くにあたって、いくつか文献をあさりましたがあまりよいものがなく……あくまでも私の説明できる範囲の内容になることをご了承ください。
妊娠中に足がつる原因と解消法その1〜電解質のバランス異常〜
いくつか原因はありますが、筋肉の収縮を司っている体内の電解質(主にカルシウムなど)のバランスが崩れている時、というのが大本の原因です。
筋肉は、神経から命令を受けて収縮&弛緩をしますが、神経にしろ筋肉にしろ、電解質を用いて命令を受け渡し、命令を実行しています。
ここのバランスが崩れると、勝手に筋肉が過緊張を起こし、「筋肉がつった」状態になるわけです。
ではなぜ妊娠中は、その電解質のバランスを崩すのか、ということになります。
妊娠中は、胎児にも栄養が行きますので、油断すると母体側のカルシウムなどの電解質のバランスを崩してしまうことは当然起こりえることです。(他にも、カルシウムの代謝に必要なビタミンDなどのビタミン類が不足していることも。)
更に、ただでさえ妊娠中は水血症と言いまして、血液中に水分を多く取り込んだ状態になっています。
このため、血液が薄まった状態になります。因に妊娠中に貧血になりやすいのは、鉄不足だけではなく、これも一つの原因です(全体に水っぽいので、Hbが低くなる)。
そのため、体内の全体量としてはある程度の電解質の量があるのに、実際の濃度は低くなってしまうわけです。
原因が電解質異常などである場合、妊娠前と同じ食事では足りていないかもしれません。乳製品や小魚などをプラスして摂る事でカルシウムを補えます。
しかし、カルシウムを多く含む製品というのは、意外とカロリーも豊富であったりします……。乳製品で言うと、比較的、ヨーグルトがいいかな……。
ですので、体重増加で苦しむ妊婦さんは、サプリメントなどを使うのも一つの手です(エントリーの最後に紹介しています)。
「サプリメントを勝手に飲むのはちょっと……」
と心配なようであれば、妊婦検診の時に先生に相談してみましょう。カルシウム製剤を処方してもらうこともできます。
カルシウム以外の微量元素も必要です。
結局、バランスよくいろいろ食べるのがなにより。ナッツ類などを少量試すのもありかと思いますよ(ただ、すごいカロリーなので気をつけて)。
妊娠中に足がつる原因と解消法その2〜妊婦の体のバランスと足の疲労〜
しかし、ただ単に栄養不足であるならば、足以外の部分もつりやすくなるはずです。ところが、つりやすいのはふくらはぎなのです。これはなぜか。
まず一つ、胎児が成長することで、体の重心がダイナミックに変化します。このため、気づいていないうちに、ふくらはぎの筋肉で頑張ってバランスをとっているのです。
妊娠中でなくても、すごく歩き回って疲れた日の夜中に足をつった経験がある方もいるのではないでしょうか。これと同じ原因で、足をつることになるわけです。
体重増加もこの一因です。
短期間に増えた体重に対して、筋肉量が追いつかないので常に過労状態になるのは自明の理ですね。
これらの荷重がかかったことによる「足がつる」理由は、局所(この場合はふくらはぎ)の脱水や、循環不全などによって、全身ではなく局所の電解質のバランスが崩れたと考えるのが妥当ではないかと思います。
また、筋肉に必要な酸素が供給できてないのも一因かもしれません。
この場合、対処法としてはホットパックをする、マッサージをする、寝る前にストレッチをして血流を戻してやる、といった方法で末梢の循環をよくしてあげるのがよいかと思います。
妊娠中に足がつる原因と解消法その3〜就寝中と寝起きのこむらがえり・寝ている時の体勢〜
寝ている間や寝起きに足がつりやすい、という経験はありませんか?
先ほど申し上げた末梢の循環不全と絡むのですが、胎児と増大した子宮は、寝ている間に仰向けになっていると、腹腔内の血管を押しつぶします。
こうなると、当然心臓と下肢をつなぐ血管を押しつぶすわけですから、脚全体の循環が悪くなります。
これが原因で、下肢のむくみが起こる人もいるわけです。
こうなると、電解質のバランスを整える血流が悪くなるわけですから、当然「つる」ことにつながる可能性があります。
これの対処法としては、長時間の仰向け寝は避ける(特に左側臥位がオススメです)のが一番でしょう。
あとは、私の場合、寝ている時に足先をぴんと伸ばして伸びをすると、確実につります。
筋肉の過緊張は、「つる」ことのきっかけとなります。
伸びをするなら、踵を直角にしてやるだけでも効果的です。
「つりそう!」と気づいたときは、さっと踵を直角にすると、それだけでつるのを回避できます。お試しください。
こむら返りを起こした時の処置
そしてつったら、きちんと処置をしましょう。
(恐らく皆さん、これまでの経験で、足がつったらどうやったら治るかご存知だとは思いますが)膝裏を伸ばし踵を直角にし、足指を手前に引き延ばします。
つった感覚がなくなるまでキープ、もしくは数回繰り返しましょう。
が、これが妊娠すると、お腹が突っ張って引っ張りにくいんです……
というわけで、壁に足裏を押し付けたり、正座から足指をつけて立ち上がる時のような姿勢をとったり、アキレス腱を伸ばすようなストレッチをしたりするのも効果的です。工夫してみてください。
こむらがえりに効く漢方薬
そして、生活改善をしても毎日苦しむようであれば、漢方薬に「つる」のによく効く薬があります。
糖尿病の患者さんなどで脚がつる方によく処方するのですが、芍薬甘草湯といいます。
産婦人科でも、漢方を使う先生であれば処方してくれると思います。よかったら相談してみてください。
私が実際にやった「足がつる」対策
で、実際に私がとった方法は、
の3つです。
ネットの意見を拝見していると、「マグネシウム不足で〜」というのをいくつか見かけましたが、私の場合はマグミットという酸化マグネシウムの下剤を使っているので、マグネシウムは十分に摂取できてましたので、これの対策はとっていません。
上記の3つを試してすぐに、足はつらなくなりました。私の場合ですが、おそらく、一番の原因はカルシウム不足だったかなと思います。