お腹がぽっこり張っている…原因は一体何?

お腹の張り
お腹がぽっこり張っていると、食欲もわかないし何となく体調がすぐれないですよね。お腹が張る原因は、食事中に空気を飲み込みすぎてしまう呑気症から、胃腸の動きを悪くする見逃せない病気まで様々です。中には早めに病院に行くべき病気もあります。今回は、お腹の張りという症状が出る原因について、医師・高山 哲朗先生による監修記事でまとめます。

お腹が張るとは?

お腹が張ることを医学的には腹部膨満感と言います。腹部膨満感は、腸管内のガスが過剰にあることや胃腸の動きが悪いことで起こります。
胃腸だけでなく、その他の肝臓や胆嚢などの病気でも胃腸の動きが悪くなることはあります。
一時的なお腹の張りで様子をみてよいものから、早めに病院に行った方がよいものまであるので、わかりやすく説明していきます。

お腹の張りの原因になる腸管ガスとは?

お腹の張りの原因で重要な要素である腸管ガスは、何によるガスなのでしょうか。
お腹には、口から飲み込まれる空気だけでなく、腸内細菌が発生するガス胃液がすい臓からの消化液により中和されるときに発生するガスがあります。
お腹の腸管ガスは、ほとんどが血液中に吸収され肺を通して呼吸により体の外へ排出されます。ガスを出すというとげっぷやおならをイメージする方も多いかもしれませんが、それらで排出されるのは、お腹のガスの約10%程度と言われています。

お腹が張る原因とは?

正常であれば、腸内に入ってくるまたは産生されるガスと排出されるガスのバランスが保たれており、お腹の中には約200ml(コップ1杯)の腸内ガスが存在しています。しかし、お腹が張る時にはこのバランスが崩れているため、お腹のガスの量が増加しています。
正常であれば、腸内に入ってくるまたは産生されるガスと排出されるガスのバランスが保たれており、お腹の中には約200ml(コップ1杯)の腸内ガスが存在しています。しかし、お腹が張る時にはこのバランスが崩れているため、お腹のガスの量が増加しています。
お腹が張る原因は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、腸内にたくさんのガスが入ってきてしまうか異常にガスを産生してしまうものです。つまり腸内ガス過剰型です。
2つ目は、腸内からガスが排出されにくい状態になってしまうものです。つまり腸内ガス排泄低下型です。
それぞれにどのような原因があるかまとめていきます。

1.腸内ガス過剰型

呑気症といって、食事中などに過剰に空気を飲み込んでしまう人がいます。緊張などによって自律神経のバランスが崩れてしまい、この症状が出ることもあります。食事中はゆっくり噛んで食べているでしょうか。また、食事中に話しすぎたり早食いしたりすることも、空気を飲み込みすぎてしまう原因になります。
便秘も、腸内に停滞した便のために腸内ガスを産生しやすくします。
食事では、甘いもの(糖質)の摂りすぎや、米やパン・イモ類などのでんぷん質の食品を食べすぎると腸内にガスを産生しやすくなり、お腹の張りを感じることがあります。
炭酸飲料も、飲みすぎは腸内にガスをたくさん入れてしまう原因になるので注意が必要です。何事も適量がいいようです。

2.腸内ガス排泄低下型

暴飲暴食は絶えず食べ物が胃腸に入ってくるので、胃腸が休む暇がなくなり結果として動きが悪くなります。
胃腸の動きが悪くなると腸内ガスをうまく排泄できなくなるので、お腹の張りを感じます。
他には胃腸に何らかの炎症血流障害(血の巡りがわるいこと)がある場合や、過剰な緊張によって胃腸の動きが悪くなる場合も腸内ガスの排泄低下が起こると考えられます。
お腹が張る時に注意すべき病気は、腸内ガス過剰型よりも腸内ガス排泄低下に関わっていることがほとんどです。

お腹が張る原因になる病気とは?

お腹はる2

1.急性胃炎・慢性胃炎

暴飲暴食、ストレス、ウィルス感染、ピロリ菌感染、食中毒、アレルギーなどの原因で胃の粘膜が炎症を起こし、突然心窩部(みぞおち)辺りが痛むときは急性胃炎が疑われます。胃の機能低下も伴うため、お腹の張りだけでなく、嘔吐や下痢、吐血などを起こすことがあります。
慢性胃炎の8割はヘリコバクターピロリ菌感染によると考えられていますが、その他にも解熱鎮痛剤や慢性的なストレスによる胃の粘膜の障害も原因になります。長期間のお腹の張りに加えて、吐き気やげっぷを伴います。進行すると胃潰瘍になってしまうこともあるので注意が必要です。

2.胃下垂・胃腸虚弱(機能性胃腸症)

胃が正常な位置より垂れ下がっていると胃が正常に動かないため、お腹の張り、胃もたれ、吐き気、便秘などの症状が出ます。
生まれつきであったり、痩せている女性に多い体質です。食事量などに気を付けて対処します。

3.過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(IBS)では精神的なストレスによって腸の運動に異常が起こり、お腹の張りだけでなく腹痛を伴う慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。
何週間も続いたり、一時的に治ったと思ったら再発することもあります。お腹の張りを感じる原因として、腸内ガスの量は正常でも、腸管がガスを過敏に感じやすくなっているという説もあります。

4.腸閉塞

腸閉塞では、がんや腸の動きの障害などによって、腸が詰まってしまい、そこから先に腸の内容物が運ばれずにお腹の張りや腹痛、嘔吐などの症状が出ます。
手術後にしばらくしてから腸が癒着することにより腸閉塞を起こすこともあります。開腹手術を受けた後は、繊維質のものを控えるなど食事内容にも注意が必要です。

5.大腸がん

大腸がんは初期には無症状で、健診で血便を指摘されるぐらいですが、進行するとお腹の張り、頑固な便秘、下痢の症状が出ることがあります。

6.胆嚢炎・肝炎・膵炎・腹膜炎など

胃腸の病気以外の内臓の病気でもお腹の張りを起こすことがあります。これはある臓器に炎症が起きると、体もその炎症に反応するためです。胃腸以外に炎症があっても、結果的に胃腸の動きが低下しお腹の張りを感じます。多くの場合、胆嚢炎であれば発熱、腹痛、肝炎であれば倦怠感や黄疸、膵炎や腹膜炎であれば腹痛を伴います。

まとめ

お腹の張りは、腸内ガスの産生と排出のアンバランスで起こるんですね。呑気症や便秘症であれば日常生活を改善すればよいかもしれませんが、胃腸の病気のこともあるので当てはまる症状があった人は早めに病院に行きましょう。