ケトン体の安全性と基準値と糖質制限食

http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1332.html より
こんにちは
ケトン体の生成と安全性>
血中ケトン体の安全性について、特に妊娠中の女性から質問が過去複数ありました。
ケトン体、なかなかなじみがなくてわかりにくいですよね (∵)?
それで、まず結論を先にいうと、血中ケトン体の安全性は、極めて高いですのでご安心ください。 (^_^)
ケトン体は肝細胞内で、
「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体
という順番で日常的に生成されていて、肝臓では使用されずに、他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として供給されます。
糖質を普通に摂取している人の血中ケトン体の基準値は、施設により差はありますが、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、日常的に糖質を摂取している人でも、これくらいの血中ケトン体は常に存在していて、心筋や骨格筋など多くの体細胞の主たるエネルギー源となっているのです。
つまり、人体のごく普通のエネルギー源であり、当然安全性は高いです。
どれくらい安全かを、もう一つのエネルギー源であるブドウ糖と比べてみると、わかりやすいですね。
絶食療法中やスーパー糖質制限食の初期には、血中ケトン体は、3000~4000μM/Lくらいで、基準値の30~40倍の高値になりますが、それ自体は、各細胞において全く安全なものです。
このようなとき、一過性に酸性血症となりますが、人体の緩衝作用によりしばらくして正常のPHに戻ります。
100万年前のご先祖とかでは、獲物が捕れないときなどには日常的に、このような数値を繰り返していたことでしょうし、当然、血管内皮にも無害です。
一方、血中ブドウ糖の基準値は空腹時で「60~109mg/dl」です。
食後とかで血糖値が180mg/dlを超えてくると、リアルタイムに血管内皮を傷害し酸化ストレスを引き起こし、繰り返せば動脈硬化の大きなリスクとなります。
血糖値が高値であれば、胎児にも悪影響があることは確認されています。
血糖値が300mgでも充分危ないですが、3000mgなど想像を絶した数値では、当然生体は生命を保てないでしょう。
そのため、インスリンが速やかに分泌されて、食後血糖値が140~180mg/dlを超えないように、厳しく管理しているわけです。
このように検討してみると、ケトン体はブドウ糖よりは、はるかに安全性の高いエネルギー源ということができますね。
なお、母乳育児中の乳児のケトン体の基準値も、成人の基準値より高値です。
スーパー糖質制限食を実践しているとケトン体は現行の基準値よりは高値となります。
例えば、2002年からスーパー糖質制限食実践中の江部康二の血中ケトン体は、「400~800~1200/μM/L」くらいです。
このくらいが、狩猟・採集だったころ400万年間の人類の基準値、そして生肉・生魚が主食の伝統的食生活を維持していたころのイヌイットの基準値、と思われます。
そして、農耕前の人類もイヌイットもスーパー糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・育児をしてきたという事実もケトン体の安全性を保証するものです。
次回は、念のために、重症の病態である糖尿病性ケトアシドーシスのお話しをします。
詳細は~
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