妊娠をきっかけにわかった、「妊娠糖尿病」と「HTLV-1」

妊娠糖尿病とは、「妊娠中に発症した、糖尿病に至ってい
ない糖代謝異常」のことをいいます。
妊娠すると、子宮の中でつくられる胎盤からさまざまな
ホルモンが分泌されます。このホルモンが増えると、食事後
など体内の血糖が上がったとき、血糖を下げる働きをする
インスリンの作用が鈍くなります。インスリンの作用が鈍く
なると、食後に上がった血糖が下がりづらくなります。
なぜこのようなことが起こるのかというと、妊婦さんの
血糖を高くすることで、赤ちゃんにたくさんのブドウ糖を送り、
成長を促すからです。そして出産とともに胎盤は身体の外に
出ると、母体の血糖は下がります。

妊娠すると、いつも以上にインスリンを多く分泌し、血糖を
一定値に保つようになりますが、妊娠糖尿病の方は十分な
インスリン分泌が保てず、血糖が高い状態が続きます。
妊娠糖尿病では、赤ちゃんが高血糖にさらされることで
大きく成長しすぎる、生まれた後はブドウ糖を送ってくれた
母親から離れるため急激に低血糖になるなど、さまざまな
影響が出ますが、食事療法やインスリン投与など、血糖を
コントロールすることで予防できます。
また、妊娠糖尿病だった方は、出産後や次の妊娠時に
糖尿病を発症するリスクが高いと言われています。
妊娠中に限らず、ご自身の身体に関心をもっていただき、
予防することが大切です。生活習慣や食事の工夫など、
ぜひご相談ください。

次に、「HTLV-1」についてです。
「HTLV-1」とは、「ヒト細胞白血病ウィルス1型」という
ウィルスのことで、「成人T細胞白血病」の原因とされて
います。ウィルスを保有しているだけでは特に症状はないの
ですが、1000人に1人の割合で「成人T細胞白血病」を
発症するとされています。
なぜ、わざわざ妊婦健診の検査項目に、「HTLV-1」という
項目があるのかというと、お母さんがHTLV-1を保有して
いる場合、母乳を通して赤ちゃんに移ることがわかって
います。しかし、長期にわたり母乳を与えていた場合でも
感染する確率は15~20%、また母乳を一切与えていなく
ても約3%感染する確率がある、とされています。さらに、
母乳を一度マイナス20度で凍結してから赤ちゃんに与える
という方法も提案されていますが、現段階では確実な予防策
とは言い切れません。

お母さんがHTLV-1を保有していると検査でわかった場合、
わたしたちは赤ちゃんへの栄養方法をどうするのか、お母さん
と一緒に考えさせていただきます。
迷いがあるときは、いつでも身近な助産師にご相談ください。
私たちは、お母さんが決めた栄養方法を応援させて
いただきます。

妊娠糖尿病と、HTLV-1詳しく知りたい方は、下記URLを
ご参照ください。

■日本糖尿病・妊娠学会
糖尿病と妊娠に関するQ&A↓
http://www.dm-net.co.jp/jsdp/qa/

■HTLV-1 母子感染予防研究班ウェブサイト↓
http://htlv-1mc.org/

■厚生労働省のHP↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou29/wakaru.html